体が硬いミドサーのブログ

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家族の形を考える

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2019年にテレビ東京系列で放送されていた「きのう何食べた?」のお正月スペシャルをTVerで観ました。

ドラマ全編を通して、「同性愛者のリアル」と日本に生きる人間の日常生活を地続きで描いていて、ホロっと泣かされたり、登場人物のふとした一言に救われたりして、断続的にですが配信で全てを鑑賞していました。

連ドラ時も度々、シロさんとご両親の関係についてシロさんが悩みながらも親子で歩み寄りをみせているシーンやエピソードがありましたが、今回は「神頼みで息子を異性愛者にしようとしていた若い頃のシロさんの母」の話が出てきました。

シロさんが同性愛者だと知った後、お母さんはツボだの水だのと買い求め、シロさんを異性愛者にしようと縋っていたようで、その頃に使い込んだお金はどうやら老後資金で、年老いた今、夫(シロさんの父親)の医療費などが嵩んで息子に金の無心をしなければならなくなった…というのが顛末です。

その後どのようにして親子が現在の関係を築いていくのかは詳細は明かされていませんが、多かれ少なかれ親が年老いていくと子の世代が直面する問題だと思うのです。「親の経済問題」というのは。

 

うちの母親も祖母から金の無心をされていましたが、祖母は「子に金の無心をする」ことについて特に何も考えてない様子でした。立ってるものは親でも使え…ではないですが、使えるものは子でも使おうという精神が祖母の心にはあったのでしょう。それを自覚してるかは別問題ですが。

 

我が家は私の両親も夫の親も隠居してはいますが、まだ経済的に困窮しているわけではないので、少し心に余裕はありますが、子がいたらまた話は違ってきたなぁ…とドラマのシーンを見ていて思いました。それでも、シロさんのご両親はシロさんを大学まで卒業させ、司法試験合格まで支えたのですから、「自分の気持ちと子の将来への支援は別」と考えて子育てされていたのだなと感じられ、すごいなぁと思うのです。

 

他には、常日頃からワガママなジルベールとそれに振り回される小日向さんのやりとりですが、今回は少し趣が異なりました。

いつものごとくワガママっぷりを存分に発揮しているジルベール。偶然食材買い出し中のケンジに出くわし、二人でパンケーキを食べながら色々と話すシーンがとても印象的でした。ポテチの味に例えられる、パートナーからの愛情の話なのですが、「結局歳とってくると、いつでもそこにある定番の味がよくなるの。だから、愛情を試すのもたまににしてあげないと(パートナーが)可哀想よ」とケンジはジルベールのわがままを嗜めるやりとりをするんです。

連ドラの時から、気質は割とケンジとジルベール同じだなーと思う描写があったのですが、不安からくる愛情試しは劇薬であることをケンジは身をもっていっているし、かつ、「愛情を試したりしなくたって、ちゃんと愛をくれる相手」と出会って生活している今があるからこそ出てくるセリフですよね。

 

その後、ジルベールは自分でつくったキムチチゲを小日向さんに振る舞うのですが、それも、愛情を試すのではなく、自分から相手を思って(いや、多分大部分はジルベールが自分で食べたかっただけなんだろうけど…それでも、「大ちゃんに食べさせてあげたい」という気持ちが少しでもあったんだと解釈している)とった行動に小日向さんはひどく感激しているし、やっぱりこの人じゃないとダメだなと思ってるんだろうなーとホロっとしました。

そして、小日向さんはシロさんとの電話でこういうのです。

「僕はワタルくんが投げつけるワガママは僕だけに向かっていて欲しい、そして、そのワガママは僕だけで答えてあげたいんです」と。

 

イロモノ扱いしてたけど、ごめんね…と思いました。

(原作未読なので、詳しい事情も知らないし…)

引っ掻き回されるのは迷惑ですが、フィクションとして観る限りではとても応援したくなりますよね。実際に知り合いにいると「うーん」ってなるけどw

 

観終わって、用事で出かけた先のコンビニでわさビーフを買ってしまいましたw

 

こういう、フィクションだけど自分や社会について色々と考えさせられて、でも少し救いになるような作品、とても好みです。